木曜日, 2月 23, 2006

はじうお。人向け特別企画1

新しくソーサリアにやってきた諸君、ご機嫌はいかがじゃろか?
私はパイレミン。書と人と物語を愛するじー様じゃ。

胡散臭いって? その通りじゃよ。
わしは胡散臭い書写の人で、皆の魂を奪いにやってきた。
お前さんがたの魂を、ほんのちょっぴり「物語の世界」に捉えてしまおうと思って、な。


「グリムズウィンドで星の世界に飛び上がった女性の話」
月々の無い星の海に浮かぶマラス。
その北部に「グリムズウィンド」と言う島がある。
わしは知り合いがその辺に住んでおるのでたまーにグリムズウィンドの縄の橋の近くを通るのだが…ある日、縄の橋の前で女性が一人、佇んでいた。
「綺麗でしょう? この下には空と同じ星の世界が広がっているの」
「常々不思議に思っていたところじゃよ」私は答えた。
「この星の世界は、空の上の星界と同じものなのかねぇ」
「私もそれを考えていたの。私の兄も同じ事を考えていて2年前にそれを確認しに行ったわ」
「ほう?」私は驚いて言葉を継いだ。
「どうやって確認するのかね?」
「2年待ってくれと兄は言っていたわ。それで何も判らなかったら私が後の調査をするように言われていたの」
「…お前さん、私の話を聞いとるかね?」
「私も調べに行かなきゃ」
誰に言うとでもなく、白磁のような白い顔をした女性は足の下の星界を眺めながらそう言うと、そのまま縄の橋に倒れこむようにして…足の下の星界に身を投げた。
やがて彼女はどんどん小さくなり、星の海に吸い込まれるように小さくなっていって…消えてしまった。
わしは成す術なく見守るしかなかった。
そうしてずうーっと彼女の姿を見ていて…なにやらおかしな感覚が沸き起こった。
彼女は落ちて行ったのだろうか? それとも昇って行ったのだろうか?
ここから空に飛び上がる事が出来るんじゃろうか?
数日後、ある高名な騎士がこの話を聞きつけ、縄の橋の前でゲッシュ(呪いの力を含む宣誓)を行った。
それ以降、この橋からは身を投げる者は居ない。